臨床工学技士は、人工呼吸器や血液透析装置といった生命維持装置をはじめとした医療機器の管理を行う国家資格です。医療機器に関連した専門職種として医療機器の安全確保と有効性維持の担い手としてチーム医療に貢献しています。
当院の臨床工学室は平成21年度に設立され、人工呼吸器・血液浄化装置など生命維持装置をはじめとする様々な医療機器の保守管理を担っています。
現在、臨床工学室には10名の臨床工学技士が配属され、医療機器管理業務、呼吸療法業務、循環器業務、消化器内視鏡業務、血液浄化業務を行っています。
スタッフ(2023年11月現在)
室長:1名 主任:2名 臨床工学技士:7名 計10名
・不整脈治療関連専門臨床工学技士
・消化器内視鏡検査技師
・心血管インターベンション技師
・認定医療機器管理検定
・認定集中治療関連検定
・3学会合同呼吸療法認定士
・透析技術認定士
・ICLSインストラクター
院内で使用している多くの医療機器について保守点検、修理対応等を行い、安全に使用できる環境を提供しています。臨床工学室で管理している医療機器1台ごとに台帳として、購入から廃棄までが確認できる資料を作成しています。臨床工学技士が院内を定期的に見回り、医療機器の使用状況を確認し、医療機器の所在、医療機器稼働状況把握を行っています。医療機器の劣化や破損にともなう医療機器の修理対応を担当し、医療機器が使用できない期間を最小限に抑える対応を行っています。医療機器は臨床工学技士以外の職種が操作することも多いため、取り扱い研修会を開催し、医療機器を安全に使用できる取り組みを実施しています。
呼吸療法には人工呼吸器、マスクを用いた人工呼吸器NPPV、高濃度の酸素吸入を安定して行うネーザルハイフローなどがあり、臨床工学技士はこれらを適切かつ安全に使用できるよう院内で活動を行っています。また、睡眠時無呼吸症候群に対する治療としてCPAP装置やASV装置の患者さんへの教育指導、外来における使用データ解析などを行っています。院内の呼吸療法業務では各病棟を巡回し、人工呼吸器が適正に使用されているかを確認しています。巡回時には医師や看護師などの他職種と情報交換を行い、患者さんにとって安全でよりよい呼吸療法が実施できるよう多職種と連携を行っています。また、臨床工学技士は呼吸療法サポートチーム(Respiratory Support Team:RST)のメンバーとして、医師、看護師、理学療法士と一緒に呼吸療法の安全な実施を目指して活動しています。
心臓カテーテル治療は、心筋梗塞や狭心症に対して行う血管内治療法です。安全に実施できるよう循環器内科医、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師と協働して治療を行います。臨床工学技士は、医師のカテーテル操作の介助や、血管内超音波診断装置、冠動脈の動脈硬化を切削する装置(ロータブレータ、ダイアモンドバック)の操作を担当しています。また、血行動態が不安定な患者さんに、経皮的心肺補助装置(ECMO)や大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)などの補助循環装置や体外式ペースメーカを使用します。臨床工学技士はこれら生命維持装置が安全に使用できるよう医療機器の管理を行っています。ペースメーカ、植込み型心電計をはじめとした心臓植込みデバイスの植込み手術立会い、植込み後の外来フォローアップ、遠隔モニタリングシステムの管理を行っています。また、ペースメーカ植込み患者さんが手術を受けられる時、またMRI撮影を行う時、安全に実施できるようペースメーカの設定対応を行っています。
当院では2008年度より臨床工学技士が消化器内視鏡業務に携わっています。主な業務は、消化器内視鏡検査で使用するスコープの洗浄・消毒業務、消化器内視鏡下で胃がん・大腸がん切除などに用いる高周波装置の操作管理、医師の介助を担当しています。胆石症や胆のうがん、すい臓がんなどの内視鏡検査・処置においても医師の介助を担当しています。そして気管支内視鏡検査においても医師の介助、スコープの洗浄・消毒業務を行っています。また、臨床工学技士はラジオ波焼灼療法業務にも携わっています。ラジオ波焼灼療法とは、肝臓がんに対し、皮膚から肝臓に電極を挿入してラジオ波という電流を通電させることで熱を発生させ腫瘍を壊死させる方法です。臨床工学技士は焼灼装置の操作を担当して、安全に治療が実施できるよう医師、看護師、臨床検査技師と協働しています。
救急・集中治療領域では生命維持装置が必要となる症例が多く、高度かつ専門的な医療機器の操作管理が臨床工学技士に求められます。当院の臨床工学技士は、救急領域における診療に携わっています。救急搬送された患者さんに対する人工呼吸器をはじめとした生命維持装置装着の対応、心肺蘇生症例では医師、看護師と協働し搬送時から救急救命対応チームの一員として治療に参加しています。院外心肺停止症例では、脳保護を目的とした低体温療法を速やかに導入できる体制をとっています。また、救急外来スタッフを中心に蘇生対応チームが組織され、院内スタッフが適切に心肺蘇生処置を行うための研修会を開催しています。集中治療領域における臨床工学技士の業務は、人工呼吸器の管理、持続的腎代替療法(CRRT)、敗血症に対するエンドトキシン吸着(PMX)、循環動態が不安定な患者さんに対する経皮的心肺補助装置(ECMO)、大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)の操作管理を担当しています。毎朝行われる多職種カンファレンスに参加し、それぞれの専門領域の意見を出し合い治療方針の決定、情報の共有を行っています。
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