肺癌、転移性肺腫瘍、気胸などの呼吸器領域の外科治療を行っています。
的確な術前診断を行い、低侵襲で安全かつ確実な手術を行います。
不安なこと、聞きたいことがありましたら、納得いくまで説明いたします。
当院での呼吸器外科手術の特徴は、微小な肺腫瘍に対する術前マーキングを併用した胸腔鏡手術です。近年、胸部CTの普及により、胸部レントゲンでは指摘できないような小さな影が見つかるようになりました。小さい陰影は、従来の検査法(気管支鏡、針生検など)では確定診断を得られないことが多いです。しかしながら、悪性を疑う陰影を経過観察し、大きくなってから手術していたのでは、小さく見つかったメリットがありません。小さく見つけて小さく手術することで、早期に肺癌を治療できると考えています。
手術前にCTで確認しながら、細い針を刺して目的の陰影の近くまで進めます。微量の造影剤を注入してマーキングとします。手術中に、レントゲンを利用してマーキングを確認し、微小腫瘍を含むようにして切除します。
肺癌・転移性肺腫瘍・気胸などの呼吸器外科の手術は、ほぼ全症例で内視鏡手術を行っています。2cm程度の小さな傷を2カ所、わきの下に4~8cm程度の傷を1カ所の合計3カ所の傷で手術を行っています。
気胸の手術では、さらに低侵襲な1ヵ所の創で行う手術をはじめています。手術後の痛みはさらに軽減しています。
肺癌の外科治療に当たっては、最新の内視鏡手術セット、ハイビジョン・モニター・システムを導入し、鮮明なモニターを見ながら、ほぼ全例に内視鏡手術(胸腔鏡下肺切除術)を行っています。肺癌に対しての手術治療は「肺葉切除とリンパ節郭清」が標準です。内視鏡や鉗子類を入れるための創(1.5cm)を2カ所と、操作を行うための小開胸創(8cm)を1カ所の合計3カ所の傷で手術を行っています。術後の痛みが少なく、回復が早いのが利点です。
化学療法に関しては、外来での化学療法を基本と考えています。日常生活にあまり影響を及ぼさないように、通院での治療が可能と考えています。
肺という臓器は、他の臓器(胃、結腸・直腸、肝臓、膵臓、乳腺、骨・軟部腫瘍)の悪性腫瘍が転移をおこしやすい臓器です。初回手術からの期間、転移した場所、転移数により、手術治療の適応を考えていきます。実際の手術は、腫瘍本体を中心に周囲の肺を含めて摘出する「肺部分切除」が主流です。内視鏡手術で対応可能ですので、2cmの創を2カ所と、4cm程度の小切開創を1カ所、合計3カ所の創で手術を行うようにしています。
何らかの原因で、肺表面の膜に穴が開き、肺から空気が漏れ、漏れた空気が胸の中にたまる疾患です。ちょっと漏れただけで止まってしまう程度の軽いものから、片方の胸にいっぱい漏れて反対の胸を圧迫するような重症例(緊張性気胸)まであります。胸痛、呼吸困難などの自覚症状で発症することがほとんどです。治療の基本は安静です。漏れた空気の量が多ければ(肺のへこみ方が大きければ)局所麻酔で空気を吸い出すチューブを留置します。
気胸に対して全例手術を行う訳ではありません。ただし、初回発症の方でも、2日以上空気漏れが止まらない人や、再発症例の方には、胸腔鏡手術を勧めています。
縦隔とは、左右の肺、脊椎、胸骨、そして横隔膜に囲まれた領域を指します。原則的に、縦隔腫瘍に対しては、手術を勧めています。心臓、大血管、食道、気管・気管支などの重要臓器のそばにあり、放置しておいて、大きくなった場合、周辺臓器への圧迫症状が出たり、大きくなった故に摘出することが困難なこともあるからです。胸腺種、神経原性腫瘍、心膜嚢胞、気管支嚢胞などを扱います。
胸の中を胸腔(きょうくう)といいます。胸の中を見るので、胸腔鏡といいます。胃カメラ、胃内視鏡と同じような装置で、胸の中に直径10mm程度の太さのビデオカメラを入れて、胸の中の様子をテレビ画面に映して観察します。胸腔鏡の手術というのはビデオカメラで胸の中の様子を見て、特殊な手術器械を使って必要な操作を行うことをいいます。
麻酔は一般的には全身麻酔で行います。全身麻酔がかかった後、横向きに寝て、約2cm皮膚を切開し、筒のようなもの(ポート)を挿入します。このポートを通して、ビデオカメラを胸の中に入れ、胸腔内の状態を観察します。
肺癌の手術を行う場合は、この小さなポートを2カ所、そして腋の下に約8cmの皮膚切開を行い、合計3カ所の傷で手術を行います。気胸の手術の場合は、ポートを3カ所で行うことができます。肺を切除する時は、自動縫合器という特殊な器具を用いて行います。
最後に胸の中にチューブを留置して手術を終わります。このチューブは通常2~3日で抜けます。手術や病気によって違いますが、術後約1週間で退院できます。
傷が小さい事、美容上良いだけでなく、痛みが少ない。痛みが少ないため、早期に離床が可能で、回復が早い。入院期間が短くてすみます。
不意の出血などのアクシデンントへの対応が遅れる。
京都府立医科大学との連携を行い、手術助手などの協力を得ています。最新の機器(現行最高機種のハイビジョン内視鏡システム)を導入し、明るく、詳細なモニター画像を見ながら、安全かつ確実な手術を行っています。
肺癌 | 肺癌の手術治療、手術後の補助化学療法。 |
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転移性肺腫瘍 | 大腸癌・直腸癌、腎癌などの肺転移に対する手術治療。 |
気胸 | 自然気胸に対する手術治療。 |
縦郭腫瘍 | 胸腺腫、胸腺癌、神経鞘腫、奇形腫などの手術治療。 |
目的とする病変の大きさや場所、進み具合によって変わります。肺癌の場合の標準手術は、肺葉切除(肺全体の15〜30%)です。一方で、小さく見つかった場合、淡い末梢病変や転移性肺腫瘍などの場合は、部分切除と言って局所を大きめに取るだけの手術も行っています。
通常の生活を送っている人であれば、まず、その心配はないと考えていただいて良いです。
切除する肺の量にもよりますが、手術後1ヶ月程度は、階段などでは少し息がきれることがあるかもしれません。2、3ヶ月もすると、ほとんど自覚症状はなくなると思います。
切除後の残った肺が大きくなるということはありません。肺が柔らかい場合は、わずかに広がり、少しは大きくなることはあるようですが、再生して元に戻るという意味ではありません。
麻酔のチューブをいれるため、声帯を刺激して一過性に声がかすれることがあります。手術の操作で、リンパ節郭清に伴い、声帯へ行く神経障害(反回神経麻痺)をきたすことが稀にあります。声がかすれて、飲み込む際にむせやすくなります。半年くらいかかってかすれ声は良くなっていきます。
歩けます(歩いてもらいます)。
翌日の朝から、食事を再開しています。水などを飲んでもらい、むせが出ないことを確認してから食事をしてもらっています。
手術後、手術のせいで風邪をひきやすくなるということはありません。うがい、手洗いで予防に努めてください。
手術後の肺炎は、命に関わることのある合併症です。肺炎にならないように、「タンを出す」「深呼吸をしっかりする」などの呼吸を意識して乗り越えましょう。
肺の手術の際は、原則、側臥位(横向き)で手術を行います。上になる方の腕を上げた状態で手術を行います。負担がかからないような体位をとり、テンピュールの柔らかいマットを敷いたりして、肩関節、上肢への負担が少なくなるように工夫しています。
気のせいと決め付けることはできません。腫瘍の場所、大きさ、進み具合を見て診断しますので、気になることは遠慮なく尋ねてください。
部分切除で1時間、肺葉切除で3時間を目安にしています。
全身麻酔をかけるので、意識はありません。眠っているうちに終わる手術です。分離肺換気といって、特殊なチューブを用いて麻酔をかけます。手術する肺と反対の肺で呼吸をさせています(片肺呼吸)。専門の麻酔医がモニターを見ながら安全な麻酔を行っています。
20年くらい前はそうだったように記憶しています(私が研修医だった頃)。現在は、自動縫合器という機械を使用しています。
切ります。必要最小限の胸の横の筋肉(前鋸筋)と肋間筋を切除します。手術後は、溶ける糸で縫って閉じます。
内視鏡手術では、肋骨切除は不要です。
手術創が小さくなり、硬膜外麻酔なしでも痛みのコントロールが可能になってきています。
抗がん剤の適応は、病気の進み具合で決まります。摘出した腫瘍の顕微鏡検査の結果で判定します。
特殊外来として、乳腺外来・ストマー外来を行っております。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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1診 | 山口 明浩 | 福永 健治 (1.3.5週) 柏本 錦吾 (2.4週) |
山口 明浩 (1.3.5週) 原田 恭一 (2.4週) |
担当医 | 柏本 錦吾 |
2診 | 担当医 | 担当医 | 福永 健治 | 伊藤 和弘 | 西村 真里愛 (乳腺予約のみ) |
3診 | 原田 恭一 | 西村 真里愛 (乳腺予約のみ) |
原田 恭一 (1.3.5週) 松田 高幸 (2.4週) (乳腺予約のみ) |
松田 高幸 (乳腺予約のみ) |
松田 高幸 (乳腺予約のみ) |
1診 (午後) |
- | 柏本 錦吾 (2.4週) (消化器 ヘルニア) |
山口 明浩 (1,3,5週) (消化器) |
- | 禁煙外来 |
2診 (午後) |
福永 健治 (予約のみ) (小児外科) |
- | 福永 健治 (小児外科) |
伊藤 和弘 (呼吸器) |
- |
3診 (午後) |
原田 恭一 (消化器 肝胆膵) |
- | 西村 友樹 (呼吸器) |
松田 高幸 (乳腺予約のみ) (乳腺) |
松田 高幸 (乳腺予約のみ) (乳腺) |
- | - | - | 緩和ケア | 川尻 英長 (心臓血管外科) 第3金曜日 午後のみ |
役職名 | 氏名 | 専門分野 | 資格等 |
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外科部長兼呼吸器外科部長 | 伊藤 和弘 | 呼吸器外科 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 日本呼吸器外科学会専門医 日本胸部外科学会認定医 日本内視鏡外科学会会員 日本肺癌学会会員 |
交通アクセスACCESS
〒619-0214
京都府木津川市木津駅前一丁目27番地
電車でお越しの方へ
JR木津駅から徒歩1分
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木津駅バス停 下車 徒歩1分
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